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改憲(憲法改正)で結婚がこんなに変わる!婚活するなら押さえておくべき憲法第24条

      2017/02/02

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参院選の結果、いよいよ与党が2/3を超える議席数を獲得しました。改憲、つまり憲法の改正が非常に現実味を帯びてきています。
(改憲の国民投票は、有権者数の過半数が必要だと思っている方がいますが誤りです。正しくは「総投票数の過半数」。)

しかし、どういった内容で憲法改正が検討されているのか、あまり知らない方が多いのではないでしょうか。
憲法は、法治国家である日本の土台をなすもの。ですから当然婚活にも結婚にも、そしてその後築く家庭にだって大きく影響してきます。

そこで今回は、自民党の公表している新しい憲法の草案を、主に結婚に大きく関係する条項を取り上げ、見ていきたいと思います。*1

もちろん私は法律の専門家ではありませんので、詳しいことは専門家の解説を探すのが良いでしょう。ここでは、現法との違いを見ていくことで、婚活コンサルタントとして考察を加えてみたいと思います。

現法との違いで見えること

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結婚に大きく関係するところといえば、やはり第24条です。「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し…」という条文を聞いたことのある方もいるのではないでしょうか。

この条文は、わざわざ「のみ」と入っていることから、当事者二人の合意がありさえすれば誰からどんなに反対されても結婚のできることを保証するものです。
(この条文は、近年セクシャルマイノリティや夫婦別姓の議論でも有名になってきました。)

さて、では早速二つの条文を見ていきます。
草案の条文は現法とどう変わっているのか、違いに注目して見ていきましょう。

日本国憲法:

婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

2. 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

自民改憲案:

家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない。

2. 婚姻は、両性の合意に基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

3. 家族、扶養、後見、婚姻及び離婚、財産権、相続並びに親族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

見せられたところで、憲法の条文ってわかりにくいですよね。
なのでまず、一つひとつ違いを確認し、どんな考え方が背後にあるのかを見ていきましょう。

特に大きく違うのは、改憲案のいちばん初めの項目が「家族の尊重」になったことです。つまり、個人と家族の扱いが大きく異なっている。
最後の項目でも「配偶者の選択」と「住居の選定」という文字が削除され、代わりに「扶養」「後見」が入ったことも大きな違いですね。また、この文章のいちばん頭に「家族」が入っていることからも、現法と比べて、個人よりも家族を尊重する考え方に基づいて作られていることが見て取れます。

ちなみに、他の条項でも「個人」という単語が「人」に書き換わっている部分がいくつかあります。

たとえば第13条は、
「すべて国民は、個人として尊重される。」から
「全て国民は、人として尊重される。」となっています。

人として、と言うと他の動物とは明確に違う「人」という存在として、こんな意味合いになるでしょうか。ここでも、必ずしも個までを尊重する必要はないという考え方がはっきりと出ています。

「配偶者の選択」の仕方が変わる?

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さてもう一つ、婚姻が両性の合意に基づく、という話より先に、まずは家族の尊重が言われていること。そして、「婚姻は、両性の合意のみに基づいて…」の、「のみ」が削除されていることにも注目です。

「配偶者の選択」が「個人の尊厳…」という条文から外れたことと合わせて考えても、この案のまま、あるいはこの方向性のまま改憲が実現した場合、結婚のあり方そのものの姿が大きく変わっていくことが予想できます。

個人のための結婚から、家族のための結婚へと。
そしてその家族には、憲法として新しく互助義務が課されます。

既に民法で「親族間の互助義務」という規定(730条)がありますが、新しく憲法に盛り込むということは特に強い規制が許されやすいと考えて良いようです。たとえば、新憲法に基づき新しく法律を制定する場合などです。

人権の国際的基準を示す、国連の世界人権宣言16条にも「家庭は、社会の自然かつ基礎的な集団単位」と書いてあるのですが、人権宣言ではこのあとに「(家族は)社会及び国の保護を受ける権利を有する」と続いています。改憲案には、このような意味合いの条文はどこにもないこともポイントです。

現在は国や行政が供給している福祉サービスも、改憲案では家族間の互助にかなり大きな部分が求められることになる(公助から自助となる)可能性を唱えている専門家もいます。*2

ちなみに基本的人権に関しては、草案第12条にこんな一文も加わっています。
「(国民の)自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない」

改憲案では、国民主権から「公」あっての人(国家主権)へと考え方を変えていると捉えることができます。この大きな方向性の違いを押さえると、他の条項についても理解しやすくなります。

改憲で婚活や家族はどう変わるか

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では、このまま改憲された場合、家族のあり方はどう変わるのか。
それを考えるために、この改憲案が作られた背景について少し知っておきましょう。

安倍首相の主要な支持団体として、日本会議が挙げられます。
この団体は、ざっくり言ってしまうと戦前の日本の復活を一つの大きな目的としており、そのための改憲に力を注いできた団体です。
日本最大の右派組織だとする新聞社もあるようです。*3

たとえば、現在の少子化は、結婚の自由をそれぞれの個人に認めてしまったがために未婚率が上がったことが大きな要因である、とする考え方をしているため、伝統的家族制度の実現に力を入れています。*4
他に、皇室中心の日本、国防の充実なども目的としているようです。

ですから、戦前の家制度のようなものを復活させることで未婚化、少子化などの問題を解決できるだろうと、そのようなビジョンに基づき、憲法の草案に意見を反映させていると考えられます。

何と言っても安倍内閣は、安倍首相を含めて9人中15人が日本会議の関連団体メンバーです。*5ですからその団体の強い意向が反映されたこの24条が、草案から大きく変わることはないと見て良いでしょう。

改憲案ではどこまでを「家族」とするか定義されておらず、どの程度の親族に互助義務が発生することになるかは今のところはわかりません。
が、上記の背景を考えると、最大限広く「家族」を捉え助け合いを促されると考えた方が良いかもしれません。

借金大国にも関わらず福祉のために相当な国家予算を割いている現状と、家族は社会及び国の保護を受ける権利がある、などの文章が入っていないことからも「顔も知らない親族であっても国や行政に頼らず助けなさい」「結婚したら相手の親族も同じように助けなさい」という流れは現実的です。

もちろん、憲法が変わったからといってすぐに流れがガラッと変わるわけではないでしょう。
身近なところでは、親による婚活が増えていくこと、あるいは親の反対により、したい結婚が叶わないことなどがまず起こりそうな変化かと思います。(何だかよくわからない親戚ができてしまったら困りますから、親が今までより婚活に入ってくるのは当たり前ですよね。)

自分の意見を持とう

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婚活中の皆さんはこれから家庭を作っていこうとしているわけですから、少なくとも婚姻や家族についてくらいは現法と改憲案のどちらが良いと感じるか、意見を持っておくと必ず役に立つはずです。
(そのためには、他の解説ページも調べてみると良いと思います。)

結婚相手を自分で決めるなんて難しいし、いっそ親に決めてもらった方がいいや。
家族の助け合いを義務化するのは良いアイデアだ。
そう考える方もいるでしょう。

結婚相手を自分で決める権利がないなんて嫌だ。
個を尊重する今の憲法の方がいいや。
そう感じる方も多いでしょう。

たとえ改憲されてもされなくても、どんな家族のあり方が良いのかある程度イメージを持てていれば、望まない影響を憲法から受けることもその分少なく済むはずです。現憲法と違う考え方に触れることで、今ある権利について感じたり、目指す家族の姿がまた一つ見えるきっかけにもなるでしょう。

改憲を問う国民投票が行われるのは、そう遠くない未来かもしれません。
ぜひこの機会に、どんな家族を持ちたいか、そしてどう生きたいか、真剣に考えてはみませんか。

*1 自民党 総合政策集2016 J-ファイル
*2 くらしナビ・ライフスタイル:改憲 「家族助け合い」は弊害も – 毎日新聞
*3 日本会議 – Wikipedia
*4 日本会議特集を組んだテレビの選挙特番が自主規制でカット、「日本会議事務局の会員勧誘録音テープ」の内容を全公開!|LITERA/リテラ
*5 安倍政権を支える右翼組織「日本会議」の行動原理(上) 「日本会議の研究」著者・菅野完氏インタビュー|DOL特別レポート|ダイヤモンド・オンライン

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